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2010年9月28日

5連続敬遠~甲子園が割れた日

※※※※ ご注意! 一部ネタバレです※※※※

久しぶりに興奮した 夏の甲子園
やっぱり 地元の高校が勝ち進むと 盛り上がりが違いますね(笑)

甲子園熱がなかなか冷めず、手にした 本

あの、松井秀喜が5打席連続敬遠となり、バットを振ることなく甲子園を去った 星稜 対 明徳義塾戦
甲子園好き、巨人好き、松井ファンなら きっと記憶にある試合についての本です。

試合直後から 明徳に対して「高校野球らしくない」という非難が集中し、ニュースになるほど大騒ぎとなった
翌日には 明徳の捕手選手が 「甲子園なんてこなければよかった」と語ったと報じられた。

筆者 中村計氏は その日を浪人生として過ごしていた。
自身も高校時代を白球を追って過ごした筆者は 全打席敬遠策をとった 明徳ナインの心の底には 野球への恨み、甲子園への恨みがあるのでは、、、と将来 明徳の選手に対し、その時の気持ちを取材しようと心に決める。
その決意から 産まれたこの本は 筆者の執念とも思える熱意ある取材から 実に読み応えのある1冊となる。

筆者は 最初 5打席とも四球を投じた 明徳のピッチャー 河野選手を取材する
全打席敬遠をさせられた、河野投手はさぞ その時のことを悔やんでいるだろうと決め付けていた筆者は、河野投手の「あの試合はいい思い出」という言葉に驚き、 捕手の「甲子園にこなければ~」発言はマスコミが勝手に書いた嘘だと知らされる。

そして、筆者は改めて 「あの試合はなんだったのか」と 明徳の選手だけでなく、星稜側、監督ら当事者だけでなく、多くの野球関係者に取材を開始する。

最初の河野投手へのインタビュー、続く 明徳義塾高校の立地を含む学校環境・練習環境 の辺りは 失礼ながら筆者の思いが先行しすぎるのか、ちょっと読み辛い。
しかし、本腰を入れた取材後に書かれたと思われる 3章「前夜」以降は 一気に読ませてくれる。

筆者は あの明徳の作戦が正しかったとは言わないし、明徳が悪かったとも言わない。
取材先の多くが 明徳と同じ作戦を取るのが当然という感想をもったことを 紹介している。
一方で、あそこで勝負しないのは高校野球ではない 、という声も紹介している。
その中で、監督の経歴、甲子園出場が目的の学校、甲子園常連校、優勝候補常連校等の学校の立ち位置の違い や 「高校野球・甲子園はこうあるべきだ」と決め付け感のあるマスコミの姿勢をあぶりだしていく。

いつの間にか 甲子園を神聖化してしまい、甲子園はこうあるベキ論を作ってしまった 一般観衆
負けた側を悲劇のヒーローにしたがるマスコミの取材姿勢
勝負事だから 勝つ最善策をとることが大切…?
高校生だから 将来に繋がる試合経験をさせることが大切…?
5打席連続敬遠策を どう評価するか、、、、正解はひとつだけではないと思う。

ひとつ言えるのは、この試合後に 未だ 全打席敬遠の策をとる例がでてこないこと
敬遠策の是非というより、事後のマスコミ騒動による 選手・学校へのダメージが相当だったと関係者は痛感しているのではないか

「著者が引き出した”真実”は今もなお真剣に議論すべきスポーツのテーマであり、本書は日本のスポーツ界、特に”観るスポーツ”のあり方、そして スポーツ・ジャーナリズムに対する痛烈な批判になっているいことが見て取れる」
この作品は 第18回ミズノスポーツライター賞を受賞しており、その際の選考理由である。

”あの日”を 所謂マスコミ視線以外で 知ることのできる 1冊です。
文庫本では 上梓後の取材も追記で書かれているので、文庫本がお勧めです。

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